
投資家ドラゴンです。
今回の記事では損切りしないで値上がりを待った事により、結果的に偶然勝った経験をすることで、後になってとんでもない損失を出してしまった実例を紹介します。
損切りを我慢して結果的に勝っても、それは将来のトレーダーにとって悪い経験値を重ねてしまうことになるんです。
- トレードには未来につながる損切りと、未来に悪影響をおよぼす利益確定がある
- 人間は自分に都合の良い過去の経験値に頼り、都合の悪い過去の経験値を忘れようとする
なぜ損切りを我慢して利益確定できた経験が、あとになって大きな損失をだす原因となるのか解説します。
損切りしないで勝った経験したことありますか?
みなさんは株式投資やCFD、FX等で、
大きな含み損を我慢し続けて、結果的に値上がりして損切りせずに、むしろ多少の利益がのって売却できた!ラッキー!!
こんな経験したことありませんか?
この経験がむしろ後になって損切りの決断を遅らせてしまうことがあるんです。
僕の親族の実例を紹介します
下記の画像データは、日本株のデイトレ銘柄では人気の高いレーザーテックという銘柄の日足チャートです。

このチャート全体に水平ラインが引いてあるのが分かりますが、4月上旬の21,600円前後辺りの時に僕の親族(従兄弟)が1000株を信用取引で購入しました。
しかし購入後からどんどん値下がりが起こり、一時的に18,000円以下になった頃(5月のゴールデンウィークあたり)僕に相談の電話が掛かってきたんです。
やっちまった。どうしよう。。損切りするにも金額が大きすぎるし。。。
動揺とショックを隠しきれない従兄弟が僕にはすぐに分かったので、とりあえず慰める意味で、
チャートのRSIとストキャスティクスは売られすぎのシグナルになっているから、もしかしたらこれから多少は盛り返すかもしれない。
でも買値までは戻らないかもしれないから、価格がある程度戻った時点で損切りするしかないかも。。
と伝えました。
もちろん僕もここから値上がりするなんて保証はできないわけで、従兄弟を落ち着かせるための言葉を選んで言っただけです。
しかし、幸か不幸か17,000円台から急激に価格が戻り始めたんです。
結果的には5月20日過ぎには買値に近い価格まで奇跡的に戻し、従兄弟も買値とほぼ同じ価格(数千円の利確)で売却できました。
この間違った利確経験が今の失敗を誘発してしまった
僕の従兄弟は今年になってから株式トレードを始めた完全な素人です。
5月のレーザーテックの間違った利確経験が最近になって悪影響を及ぼしてしまっているのです。
下記の銘柄は同じくデイトレで人気の半導体関連銘柄の「アドバンテスト」の日足チャートです。
なんと従兄弟は8月24日の午後2時頃にダラダラ下がってきていた時に1,000株も購入してしまったのです。

おまけに翌日の爆下がりで500株ナンピンし、2023/09/04現在ではおそらく150万円前後の含み損のはずです。
デイトレのつもりで購入した1,000株をその日に損切りせず、翌日になって500株ナンピンするという完全な悪手を行ってしまったのです。
このような行動をとってしまったことは、レーザーテックの400万円の含み損が奇跡的に助かった経験が本人の意識の中に強く残っているからです。
過去に損切り経験もあるはずなのに・・
この従兄弟はトレード経験は少ないけど、過去に損切りの実行も複数回行っていて、損切りの重要性を理解していたはず。
でも我慢し続けたことによって過去の400万円の含み損が無くなったという「間違った利確経験」を潜在意識の中で優先してしまっているのだと思います。
この思考回路はどんなにトレード経験を積んだ人間でも起こり得ることです。
ここでこの記事のタイトルの「FXは損切りするから負けるだけではなく、利確できちゃったから負ける」という言葉につながるのです。
レーザーテックを買った時に損切りラインを設定しないで放置した時点でダメなのはもちろん、本当は早めに損切りをしておけば、現状のようにアドバンテストをナンピンして150万円の含み損を抱えるような現状には絶対にならなかったと僕は思っているのです。
つまり、
あの時(レーザーテックを早め)に損切りをしておく経験をしておけば、「今度も含み損を我慢すれば解消できるかもしれない」という神頼みの心理状態にはならなかったはずなのです。
まとめ
この記事で紹介した実例があるように、損切りしなくて良かったという経験が、後のトレードの損切り判断を遅らせてしまうことがご理解頂けたと思います。
デイトレードのつもりで購入し、もし予想と違う方向に価格が動いたら早めに損切りしなければ、いつか必ず大きな損失を出してしまうでしょう。
損切りするのは誰でも辛い判断だけど、絶対に決断しなければいけない瞬間に実行できるかが、トレーダーとして極めて重要なスキルです。